1 遺言の種類
現在、民法に規定されている一般的な遺言の種類としては、①遺言者本人が紙に自書する自筆証書遺言、②公証人に作成を委嘱する公正証書遺言、③遺言の内容を秘密にしたまま、封書した遺言書を公証人役場に持参する秘密証書遺言があります。
民法改正により、2019年から、自筆証書遺言のうち財産目録部分についてはパソコンでの作成が認められ、また、自筆証書遺言の法務省保管制度が出来るなど、遺言における制度の変革が進んでいます。
2 デジタル遺言の概要
2023年5月5日付日本経済新聞の記事によると、法的効力がある遺言書をインターネット上で作成・保管できる制度について、法務省が年内に有識者らで構成する研究会を立ち上げ、2024年3月を目標に新制度の方向性を提言し、法制審議会の議論を経て民法などの法改正をめざすとされています。
この新制度では、自筆証書遺言をパソコンやスマートフォンで作成し、クラウド上に保管する案や、押印を電子署名などで代替すること、ブロックチェーン技術を用いて改ざんを防止すること、なども検討されています。
デジタルによる遺言作成が可能となれば、作成時間の短縮、保管場所の心配がなくなる、形式面の不備の減少などのメリットが考えられ、利用者の裾野が広がることが期待されます。
しかし、遺言は、遺言者の死亡によって効力を生じるものであることから事後的に遺言者の意思確認をすることはできないという特殊性があり、また、相続人や第三者が遺言者の判断能力の低下等につけ込んで自己に有利な遺言を作成させるというリスクもあることから、遺言者の真意に基づいて遺言がされたことをどのように担保するのかということが大きな問題となります。
3 アナログだからこそということも
公正証書遺言は証人2名の立会いの下で公証人の面前で遺言者の意思が確認されるという厳格な手続があるからこそ、作成のための負担がある反面、遺言者の真意に基づいて遺言がされたことを担保するための現時点での最善の手法といえます。
また、遺言者の意思を最大限反映するような遺言書の内容とし、将来の遺言執行手続も万全とするためには、遺言を作成する段階から専門家によるサポートを受けることができれば、より安心であるといえます。
弊社は、専門家である弁護士や税理士が多数在籍しており、また、東京、大阪、名古屋、横浜、札幌、福岡と幅広い地域において、対応することが可能ですので、お困りの点やご不明な点がございましたら、お気軽にご相談ください。