遺言の種類
民法の定める遺言の方式としては、 普通方式と特別方式がありますが、特別方式は危急時などに作成される例外的なものです。
普通方式の遺言は下記の3種類となります。
① 自筆証書遺言 (民法968条)
② 公正証書遺言 (民法969条)
③ 秘密証書遺言 (民法970条)
遺言は民法の定める要式を遵守しなければ、法律上の効力がありません。
この中でも、実際に作成されることが多いのは、①自筆証書遺言と②公正証書遺言です。
① 自筆証書遺言 (民法968条)
遺言者自らが、その全文、日付及び氏名を自署し、押印をすることにより作成する遺言です。
手軽に作成できることから、多くの方が自筆証書遺言を作成されています。
☆自筆証書遺言については,詳しくは「自筆証書遺言」をご覧ください。
② 公正証書遺言 (民法969条)
公証人が遺言者から遺言の趣旨を聞き取ったうえで、証人2人の立会いのもとで、
公正証書として作成する厳格な手続による遺言です。
目が見えない・字が書けないなどの特殊事情により自分で遺言を作成できない場合であっても
この方式による遺言作成が可能です。
(関連Q&A『 Q5.字が書けない人はどうやれば遺言を作れますか?』)
- Q5.字が書けない人はどうやれば遺言を作れますか?
私の母は目が見えなくなっており、字を書くことができません。ただ、常々私に対して、「私の財産はみんなあなたに渡したい。」と言ってくれています。口約束だけでは効果はないと思うのですが、何とか母の気持ちを法律的に有効なものにすることはできないでしょうか。
手書きの遺言書(自筆証書遺言)の場合は、全文及び作成日を自書したうえで、署名押印する必要があるため、目が見えないなどの理由で字が書けない場合、遺言書を作成することは困難です。
一方、公正証書遺言の場合には、特殊な事情があるときは、公証人による代筆を行うことも認められているため、目が見えないために字が書けない場合であっても、遺言書を作成することが可能です。
その他、話すことができない場合や、耳が聞こえない場でも、手話通訳などを利用して公正証書遺言を作成することが可能です(民法969条の2)。